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Clinical Cases 症例報告

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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

鼻の中の異物

今回は半年間にわたる、長期のくしゃみや逆くしゃみで苦しんでいたわんちゃんの治療について話をします。

動物の天然孔、特に鼻や耳などには誤って異物(食べ物、植物の実など)が入ってしまう場合があります。鼻の内部にものが入って挟まってしまうと、動物たちは排出できない場合があります。特にノギ(稲科植物の穂先)と呼ばれる実は、毛のような突起が多数あることから一度混入すると毛が返しになって引っかかり取れなくなってしまいます。

今回の症例は、鼻の中に猫じゃらしが入ってしまったかもしれないということでしたが、まさかそんなに大きなものが鼻の中に入るとはということで、くしゃみに対する治療をずっとしていたようです。

しかし一向に良くならないということで、他の病院を受診し、当院に紹介していただきました。

CTで鼻の内部を見ると、液体が多量に入っている部分が片方の鼻にのみ認められました。

そこで超極細の径(3.7mmくらい)の内視鏡を使用して、鼻の中を覗いてみたところ鼻水の中に植物の実を発見しました。やはり毛が返しとなり引っかかっていたため、鼻の洗浄では出てこず器具を使って少しずつずらしていったところ、毛の返しが外れ無事に植物の実を取り出すことができました。

これで半年にわたるくしゃみや鼻の違和感とようやくおさらばできるかと思います。大変でしたね!

文:獣医師 井口和人
動物医療センター目黒中央
目黒区鷹番1-1-20
03-6412-8303

▲鼻腔内の猫じゃらし

▲押したり流したりして移動していく異物

▲異物が取り除かれた綺麗な鼻腔

▲わかりにくいですがCTの画像です。片方の鼻だけ空気の通り道(黒いところ)が減り、鼻汁(白いところ)が増加して、鼻汁の中に高輝度のものが見えます

▲鼻の中から取れた猫じゃらし