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Clinical Cases 症例報告

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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

怖い!生まれつきの心臓病(動脈管開存症)part2

今回もう一度ご紹介するのは、ワンちゃんに多い生まれつきの病気です。こちらの病気は心臓病のため、発見治療が遅くなると亡くなる可能性もある非常に恐ろしい病気の一つです。しかし外科的な処置をすることで治せる病気でもあります。今回は前回紹介した内容から少し進んで、手術ですが切らないで治す手法、カテーテルインターベンションについて説明します。 動脈管開存症は、生まれつきの心臓病で放っておいた場合の1年間での死亡率は70%と、致命率が非常に高い病気です。お母さんのお腹の中にいた時には、大事な役割をしていた動脈管が、出生後も血管が残ったままになってしまい、大動脈から全身に送り出される血液の大部分がが肺に流れ込んでしまう事態がおきます。すると、全身は血液が送られずに疲れやすく、肺は異常な量の血液が流れ込むので、鬱血という血液が大渋滞を起こすような状態になります。
酷くなると肺に水が溜まる肺水腫という左心不全症状が出現します。これは陸にいながら溺れているほど苦しい状態と言われております。
今回のワンちゃんは、生後5ヶ月齢で自宅に来た際予防接種を実施したタイミングで、心臓に異常な音が聞こえるということで診断を受け、当院へ紹介来院しております。

▲X線では心臓が拡大し大きく見える。悪化すると肺の領域が白くなってきます。

▲動脈管を通って肺動脈に大量の血液が入り込んでいます。

▲大量の血液流入を、数値化した映像です。常に上むきの血流が3.5〜5m/secもの速さで肺へ流れ込んでいます。

前回ご紹介したワンちゃんは開胸という方法で手術しております。こちらも確実に治せる方法ではありますが、胸を大きく切るため非常に侵襲は高くわんちゃんには負担になります。今回のワンちゃんは体重がギリギリですが、カテーテルでの治療を受けられるサイズでした(1.6kgくらい)。なので開胸せずに治せる方法で治療を実施します。カテーテルを使用し、コイルというもので穴を塞ぐ手術となります。
足の血管に小さく切開を実施し、カテーテルを心臓まで挿入。造影という血管を光らせる薬で動脈管をはっきりと描出し、タイプがコイルの適応であればコイルで治療できます。今回は造影後にコイルの適応タイプだったためそのままコイルを入れ手術終了。1hr30min程度でコイルひとつを入れ閉塞を確認したの後終了できています。
さて術後は3日もすると、元気に走り回れるようになり(開胸ではこうはいきません)、退院後のトラブルもなく完治となっています。
コイルのテクニックはかなり専門的で、訓練を受けたものでないと事故を起こします。当グループでは過去3年では事故は1度も起きておらず良好な成績を残しています。

▲コイルが心臓内に見えており、心臓はすでに小さくなってきています(術後5日)

▲血流は完全に消失しており、完治しているのがわかります。